かゆみ・におい
下着、きつい衣類、ナプキン、外用薬、毛剃りなどが原因で、皮膚がかぶれてしまいます。
皮膚の疾患ですが、慢性化するとなおりづらくなりますので、がまんせずに早めに受診しましょう。
●接触皮膚炎
下着、きつい衣類、ナプキン、外用薬、毛剃りなどが原因で、皮膚がかぶれてしまいます。
皮膚の疾患ですが、慢性化するとなおりづらくなりますので、がまんせずに早めに受診しましょう。
●毛じらみ
性感染症(STD)のうちの一つですが、施設などでの集団感染でもおこります。
診断されたら、市販の駆除シャンプーや剃毛で駆除します。
性行為が感染経路の場合は、自分がかかっていたら、パートナーもかかっていますのでお互いが完治するまで、性交渉は控えて下さい。
●皮膚病
アトピー性皮膚炎、苔癬、硬化性萎縮性腟炎、白板症、外陰癌など。
皮膚科での診断・治療が必要です。
●全身疾患
内分泌疾患、肝疾患、腎疾患、血液疾患が関係して、皮膚や粘膜面に異常をきたします。
それぞれの専門外来での治療が必要です。
痛み
かゆみの病気が悪化すると痛みが出現します。
脹れる病気が悪化して物理的に圧迫されたり、バイ菌が入って感染性の炎症が起こったりしても、痛みが出現します。
しかし痛みが主体の性感染症や免疫系の疾患などの病気もあり、治療へのアプロ―チが診断によって異なりますので、まずは受診をして診断を受けることが大切です。
●ベーチェット病
指定難病の一つです。
性器ヘルペスと似た潰瘍が外陰部にできますが、口腔や消化にも潰瘍ができて、眼・皮膚・血管・神経・関節などの、全身に病変が出現する内科疾患です。
専門外来での診断・治療が必要です。
●皮膚病
皮膚科での診断・治療が必要です。
脹れ・できもの
●毛嚢炎(=にきび)
外陰部の皮膚は汗腺が多く、分泌が盛んです。毛穴がつまるとニキビになります。感染すると膿がたまりますが、破裂すると自壊して感染がおちつけば症状がよくなります。早めに抗生剤を内服・外用したり、大きいものは切開排膿します。
●バルトリン腺嚢胞(のうほう)
外陰部にあるバルトリン腺という分泌腺が詰まってしまい、脹れたものです。バイ菌が入って感染がおこると、痛みもでてきます。抗生剤の内服・外用、穿刺排膿しますが、繰り返す場合は造袋術をします。それでも悪化・再発する場合は摘出術を行います。
高齢女性で再発を繰り返す場合は、癌が隠れていることもあります。
●粉瘤(ふんりゅう)
皮下に角質や皮脂がたまってしまい、袋状になって脹れているものです。
皮膚科や形成外科で診断・治療をします。
増大傾向や痛みがあったりすると、切除手術をします。
●皮膚病
線維腫、血管腫、外陰癌など、皮膚科や形成外科で診断・治療します。
●外陰癌
高次医療機関で手術が必要になります。
おりもののお悩み
おりものの量が多い・かゆい、においがある、色がついているなどが考えられます。
色がついている場合は、不正出血の場合もありますので、注意が必要です。
●排卵期の帯下
成熟期の女性は、月に1回排卵がおき、月経がおこります。排卵期におりものが増えます。これは精子が侵入したときに、からめとって子宮内に入りやすくする女性のメカニズムからくるもので、正常なものです。かゆみやにおいがなく、他の感染症や疾患がなければ、経過観察で大丈夫です。
不正出血の症状
不正出血 (AUB;abnormal uterine bleeding)
おりものに血が混じる、生理ではないのに下着に血が付く、生理のような大量な出血がでるなどはすべて不正出血とよびます。
子宮腟部びらん(子宮の出口の組織は血管が豊富で正常でも出血しやすい状態があります)や、排卵期の出血(排卵時におりものに血がまじり、月経の時のように量が多いこともあります)など、正常でも出血することがあるものですが、婦人科の病気のサインということもあります。
一番怖いのは命に関わるような子宮がんや異常妊娠が原因となっている場合です。
症状があれば、早めに婦人科に相談に行きましょう。
「私は1年毎に職場で検診をしているから大丈夫」と考えて受診が遅れると、病状が進行する場合があるので、早めの受診が大切です。
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Polyp = 子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープ
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Adenomyosis = 子宮腺筋症
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Leiomyoma = 子宮筋腫
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Malignancy&hyperplasia = 悪性疾患・過形成
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Coagulopathy = 凝固異常症(血液疾患などの全身疾患)
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Ovulatory dysfunction = 排卵機能障害
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Endometrial = 子宮内膜疾患
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Iatrogenic = 医原性(原疾患の治療薬などによるもの)
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Not yet classified = これらで分類できないもの、異常妊娠など(流産、異所性妊娠)
●異所性妊娠(=子宮外妊娠)
妊娠は子宮内膜に着床して成立します。
しかし、子宮内膜以外に妊娠することがあり、これを異所性妊娠(子=宮外妊娠)とよびます。
多いのは卵管妊娠です。
週数が早いものは、hCG(妊娠すると分泌するホルモン)の血中濃度がひくければ、点滴治療することもありますが、異所性妊娠がおこっている場所や状態により、腹腔鏡手術や開腹手術が必要になります。
特に妊娠部位の卵管などが破裂して腹腔内出血が起こっている場合は命にかかわりますので、緊急手術が必要です。
流産との鑑別が必要になり、慎重にhCG値の経過や所見を追うことが必要な場合もあります。異所性妊娠が少しでも疑われる場合は、手術が可能な高次医療機関に転院し安全を期します。
生理のお悩み
生理とは
性成熟期の女性は月に1回排卵があります。
排卵された卵子が受精して妊娠に至るということがなければ、子宮内膜は剥がれ落ちます。
これが生理です。医学用語では月経といいます。
生理をずらしたい(月経移動)
旅行、スポーツ、試験、結婚式、就職活動、、、、どうしても月経を避けたい時というのがあります。
そんな時はピルを飲むことで月経日を移動させ、調整することが可能です。
月経を1週間ほど遅らせることは、それほど難しくはありません。また、逆に月経を早めることも可能です。
ずらしたい月経の1か月前の月経がきたら、相談しにきてください。
受診料
4,400円~(税込み)
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プラノバールという中等用ピルまたはノアルテンというホルモン剤を使います。
1日1回、一回一錠、24時間おきに服用します。
海外旅行等で日本と時差がある場合は、日本で服用している時間に合わせて服用してください。 -
薬に対する反応は個人差があるので、効果は100%ではありません。
内服し忘れや、内服時間がずれると、ホルモンのバランスを崩して不正出血や月経がきてしまうことがあります。 -
ピルの服用を開始する前に、すでに体で月経の準備や排卵があったりした場合は、まれですが服用中に少量の出血が起こる場合があります。しかし、その時点でピルの服用を中止すると、さらに出血量がふえてしまいますので、なるべく予定の日までに服用を続けてください。少量の出血は、ピルの服用を継続し続けることで改善することがほとんどです。
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ピルを内服中の方は、お手持ちのピルで調整可能です。
その場合はお手持ちのピルをお持ちください。 -
副作用:まれではありますが、血栓症のリスクがあります。
血栓症とは血管内に血の塊が詰まる病気です。
※下肢のむくみ、激しい頭痛、胸の痛み、息切れ、視野障害(見えにくい、視野がかける)などの症状がでた場合は、服用を中止し、すぐ受診してください。
※脱水状態+安静状態で、血栓症のリスクは最も高まります。
飛行機の中で血栓症になることを、エコノミークラス症候群と呼びます。
飛行機に乗るときは、機内で水分を多めに摂り、足を動かすようにして、エコノミークラス症候群の予防に努めてください。 -
他の副作用として、吐き気、嘔吐、だるさ、頭痛、乳房痛が出る場合があります。飲み始めの数日間にでることがありますが、内服しづけることで体が薬に慣れて症状は改善するので、心配はいりません。
吐き気がある場合は、プラノバールと一緒に市販の『酔い止め』を服用すると症状が和らぎますが、当院で吐き気止めを処方(自費)することも可能ですので、ご希望の方はご相談ください。
性交渉(セックス)のお悩み
Webでの入力や用紙への記載に抵抗ある方は、来院してから医師に直接お話しください。
クリニックで預かる情報は守秘義務という法律上、外部にもれることはありません。
症状がある場合、病気が心配される場合
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性交渉のときに痛みがあって、スムーズに性交渉できない
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性交渉のたびに出血する
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性交渉のときのおりもののにおいをパートナーに指摘された
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パートナー(彼氏)が変わった
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複数のパートナーと性的関係がある
性産業(デリヘルや風俗など)に従事している場合
何も症状がなくても、定期的な検査(自費)をおすすめします。
勤務先で義務付けされている場合は、検査や結果の証明書なども発行致します。
その他症状があればお話しください。
腹痛・腰痛の症状
腹痛には、婦人科が関係している腹痛と、腸が関係している腹痛があります。
子宮・卵巣の後ろには腸があるので、痛みが広がっている場合にはどちらが原因かご自身ではわかりづらいこともあります。
腰痛にも、婦人科が関係している骨盤痛と、整形外科が関係している腰の骨の痛みがあります。
考えられる疾患
●感染症によるもの
●婦人科疾患によるもの
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婦人科悪性腫瘍
●内科疾患
腸の病気
●整形外科の疾患
腰部ヘルニア、骨折など
思春期のお悩み
思春期はエストロゲンが急上昇し、女性としての基礎が出来上がる大切な時期です。月経は、脳の命令系統と卵巣の働きが全てうまく機能することで、正常に営まれています。ホルモンは卵巣と脳と連携しているのです。思春期は心身ともにデリケートな時期であると同時に、性機能がまだ発達段階の状態です。
それゆえに思春期の女子は、心身の不調・ゆらぎ、悩みやストレスが、月経異常や月経の不調として現れやすいといわれています。成人女性とは異なったアプローチが必要になることも多いです。
思春期女子の月経トラブルは、初経から3年以内では30~50%の女子が抱えています。年数がたつと徐々におちついてはきますが、月経に伴う様々な不調は、日常生活や学校生活に大きな悪影響を与えます。成績やパフォーマンスの低下は、将来の進路に関わります。また、婦人科の病気が隠れている場合は、将来の不妊症につながることもあります。月経の不調が原因で、大切な青春時代を楽しく有意義にすごせなくなるだけでなく、未来にも影をおとすことは、あってはなりません。
一時的な月経の不調は、経過をみていいものもありますが、数か月をこえて長期に続く場合は、早めの受診が必要です。
“そのうち慣れてくるだろう”“がまんするのは仕方ない”と決めつけず、まずは婦人科を受診ください。お悩みの思春期の方は、思いきって保護者の方に“婦人科を受診したいんだけど…”と打ち明けてみてください。保護者の方は、“最近、生理どう?ちゃんときている?つらくない?”と定期的に聞いてあげてください。
機能性出血(若年性出血)
月経が10日以上、止まらずにだらだらと長い出血が続き、出血の量が多いと貧血になってしまいます。
まずは婦人科の病気が隠れていないか調べます。一時的なホルモン状態が原因の場合は、軽いホルモン剤を使用して出血をとめたり周期を調節したりします。
無月経
※妊娠していても生理がこなくなります。
セックスをしたことがあれば妊娠の可能性があります。
必ずご自宅で尿検査で妊娠していないかチェックしてください。
月経が長期間止まってしまうことです。
あまりに長期の無月経は低骨量の原因になり、骨折や将来の骨粗しょう症につながりかねないため、食事指導やホルモン補充が必要なこともあります。また、子宮内膜が体内にとどまり、長期にエストロゲンに暴露されることで、将来的に子宮内膜増殖症や子宮体癌のリスクが高まるおそれもあります。
●体重減少性無月経
思春期の無月経の半分近くの原因です。ダイエットなどでおこります。
●神経性食欲不振症(摂食障害による無月経)
心理的な面からおこります。このような場合は、心療内科や精神科へ相談します。
●女性アスリートにみられる無月経
トップアスリートのみならず、部活動や熱心にスポーツに取り組む女性に見られる身近な問題です。新体操や陸上長距離などの低体重が求められる競技では、ご自身では自覚がないまま摂食障害を発症することもあります。
利用可能エネルギー不足(LEA;Low energy Availability)とは、スポーツや生活に使用するエネルギーに対し、食事や間食でとりいれるエネルギーが少ないことです。LEAの状態では、脳が飢餓状態=生命の危機ととらえてしまい、生命の維持に直接必要ではない月経を止めてしまいます。
骨粗しょう症の原因にもなることがあり、栄養指導との両輪の診療が必須になってきますので、場合によっては専門外来が必要です。
学校や競技に支障がでないよう、ご自身が持てるベストなパフォーマンスを発揮するために、体の正しいメンテナンスはかかせません。
思春期は身体機能のゴールデンエイジでもあり、この期間での健全な成長は、人生での最重要課題です。適切なボディメンテナンスをして競技生活後も、豊かな人生が送れるようにしましょう。
●肥満による無月経
極度の肥満は原因になります。他の内科代謝疾患がかくれていることもあります。
●PCOSによる無月経
頻度は多いです。体質が変わって将来的には自然に治る場合もありますが、状態が悪化すると妊娠しづらい体質になる可能性もあります。
●原因不明の無月経
3-4割近くの原因になります。
原因不明といっても、その多くは思春期特有のストレスや精神的不安定さが影響したものと考えられます。女性特有の性機能は精神状態にとても左右されやすいのです。特に思春期は心身ともに未熟な部分があり、デリケートです。思春期に抱える受験や部活、友人関係、親との葛藤などの悩みは発達にも大きく影響を与えます。
●原発性無月経
月経が15歳になっても発来しない場合は、精査して治療介入が必要です。既往歴・家族歴・生活パターン・成長過程を確認し、場合によっては婦人科の検査にくわえて画像診断、内分泌検査や遺伝的検査も行っていきます。専門外来の受診が必要なこともありますし、小児科や内科・外科など、複数の科で長期間にわたり連携したフォローが必要になることもあります。
自身の性別に違和感を感じる;性同一性障害(LGBT;心と身体の性別の不一致)が疑われる
日本では、全国で29000人の方がお悩みをかかえていると報告されています(GID学会雑誌2017年の報告)。思春期よりももっと以前からお悩みの方も多いですが、特に思春期は、第2次性徴の発現の過程でお悩みが顕在化しやすい時期です。いじめ・不登校・自殺など、様々な事態につながる可能性も高くなるため、“危機の時代”とも呼ばれます。LGBTの方が自分らしく幸せな人生を歩めるよう、国全体でもとりくむべき課題で、今後も法的な改革が進んでいくと考えられます。
当院ではGID認定医は不在で専門的な診断・治療は行っておりませんが、お悩みの方は専門施設にご紹介したり、専門施設からのご指示や連携があれば、ホルモン補充治療や各種検診など診療のサポートも可能です。どうかお一人で悩まないでください。
・千葉市HP
千葉市:LGBT(性的少数者) (city.chiba.jp)
・専門施設と団体
関東ジェンダークリニック・病院紹介と一部の支援団体機構の紹介
・GID学会 認定医 一覧
思春期のお子さん・保護者の方へ
いま各国で、成績不調・友人関係・学校の欠席などが、月経の不調に直結しているという報告が多くなされています。思春期の月経におけるお悩みを解決することは、一度しかない青春時代を快適に過ごすため、健全な成長のために、非常に大切なことです。
また婦人科疾患の予防や、将来の妊娠(プレコンセプションケア)、一生涯を通しての女性ヘルスケアの観点からも、早めに婦人科のかかりつけ医をもち、相談していくことは女性の人生の選択肢を広げる可能性があります。
思春期に産婦人科に行くことは勇気がいるとは思いますが、少しでも気になっていることがある方は、どうか一度、ご相談ください。
保護者の方で、お子さんがなんだか生理中は調子悪そうにしているなと思ったら、ご一緒に相談にきてください。お子さんは、なかなかご両親にも、ご両親だからこそ、ご自分の月経のお悩みを伝えられないことが多いです。どうか親御さんの方で、娘さんの受診を上手に誘導してあげてください。婦人科では、娘さんご本人のみからお話しを伺ったり診察させていただく場面は必ず設けますが、それ以外の場面では、保護者の方が一緒にいてくださるだけで娘さんも心強いと思います。どうぞご一緒に来院ください。
カウンセリングや食生活、生活習慣で改善する方もいます。
体質改善を目指す様々な種類の漢方薬や、適切な鎮痛剤・鎮痙剤の種類や使用方法もあります。
将来の婦人科疾患を予防したり、3-4か月に1回の月経で済み、テストや大会などで月経の日程をずらせる低用量ピルも様々な種類のものがあります。
現在は医療・薬品の開発がすすみ、様々な選択肢があり、婦人科ではその中からご本人の体調や希望にあわせた方法を提案していきます。