子宮の病気

婦人科

 
子宮のポリープ

ポリープとは粘膜のふくらみです。

場所により、子宮頚管ポリープと子宮内膜ポリープがあり、同じ『ポリープ』という疾患でも、注意すべきことが異なります。

子宮頚管ポリープ

子宮の出口(=子宮頚管)にできるポリープです。9割以上が良性のものですが、親指以上の大きさがあるものや、不正出血などの症状があり容易に出血するようなもろい構造のものは、癌などの悪性病変の可能性があるので、摘出が必要です。また子宮頸部細胞診で異常があったものも、摘出します。

摘出は細長いピンセットのような、ペンチのようなもので捻じって茎を切断します。通常の外来で10秒くらいで終わり、痛みもほとんどありません。その後は普通に生活してよく、帰宅後は少量の出血がおりものシートに付着するくらいです。ポリープの根本がしっかりついているものは、レーザーで焼き切ることもあります。

 

また、一見ポリープのようでも実は子宮内から出てきている筋腫の一部だったということも、まれですがあります。これを筋腫分娩といいます。むやみにねじ切ると大出血を起こす場合があるので、その場合は手術ができる病院へ転院していただきます。

子宮頚管ポリープ摘出後は、病理検査に提出し、取ったポリープに悪性所見がないかどうか顕微鏡で組織をみて診断します。

子宮頚管ポリープは半分くらいの頻度で再発します。

再発しても症状がない場合や細胞診が正常な場合はなんども摘出したりはしません。

 

子宮内膜ポリープ

子宮の内側(=子宮内膜)にできるポリープです。実はこれが厄介です。

子宮筋腫と同じく、出血をためておく子宮内膜にできるので、1cm未満のものでも不正出血や過多月経の症状が出現し、貧血になることもあります。

 

また、一部に悪性であることがあります。多発するものや1cm以上の大きいものは注意が必要です。

いまは悪性でなくても、APAM(atypical polypoid adenomyoma)や子宮内膜増殖症と呼ばれる子宮体癌の前癌病変の可能性であることもあります。妊活中の方は着床の邪魔になる可能性があるので摘出することが多いです。

子宮内膜ポリープのように、外来診療でなんの苦も無く摘出できるものではないので、まずは細胞の検査(子宮内膜細胞診、子宮体癌健診)や、細胞診よりも多めの内膜組織を採取する組織の検査(子宮内膜組織診)をします。

 

細胞診や組織診の結果に問題がなく、症状がないなら半年ごとに経腟超音波や子宮内膜細胞診で経過をみることが多いですが、症状が長引いたり細胞診や組織診、その他の検査で悪性の可能性が少しでも否定できない場合は、迷わず摘出します。また症状がある場合はホルモン剤などの薬物療法を行い様子をみることもありますが、軽快しない場合は悪性所見が否定できないため、やはり摘出する場合が多いです。

 

摘出方法は子宮内膜全面掻爬術(流産手術のような処置)またはTCR(子宮鏡下内膜ポリープ摘出術)です。確実に摘出するためにはTCRが有効です。悪性所見を疑う場合には、子宮全摘などの手術をすることもあります。

子宮内膜ポリープも再発しやすいので、注意が必要です。

 

乳癌手術後にホルモン療法をしている方

乳癌手術後にホルモン療法(タモキシフェンの内服)をしている方は、ご相談ください。

タモキシフェンは子宮内膜には促進的に働き、子宮内膜を過形成の状態にするため、子宮内膜ポリープができやすいのです。その中で不正出血などの症状のある方は悪性所見が疑われますので、特に注意が必要です。

子宮筋腫
 

筋腫とは

子宮にこぶのように発生する良性腫瘍です。

30代以降の女性の20~30%がもっているといわれています。

遺伝的要素もあるといわれ、人種差があったり、母も娘も子宮筋腫をもっていたり、一卵性の双子の方は同じようにもっていたりすることも報告されています。

 

発生原因はいろいろといわれていますが、女性ホルモンに依存します。

最近は女性ホルモンだけでなく、プロゲステロンという黄体ホルモンにも依存するといわれています。つまり月経がくるたびに大きくなる可能性があります。

閉経がくれば大きくなることはなく、消失してしまう筋腫もあります。

基本的に良性疾患ですが、10cm以上のものや出血があるもの、経腟超音波検査で内部が変性しているものは悪性の子宮腫瘍の可能性があるので、注意が必要です。

​子宮筋腫の分類

発生部位により症状が違います。多発性のものは様々な部位の筋腫が混在することが多いです。

 

漿膜下筋腫

ほとんど症状がでないので、大きくなってから発見されることが多いです。

主症状は圧迫症状です。

腹部膨満感や、膀胱圧迫症状による頻尿、腸管圧迫症状による下痢・便秘などの腸管の通過障害があります。

内視鏡検査などで発見されることもあります。

 

漿膜下筋腫の茎捻転

筋腫の付け根が捻じれて、筋腫が壊死してしまうことです。

鎮痛剤でもよくならないような、激しい腹痛が生じ、緊急手術になります。

筋層内筋腫

頻度としては一番多いです。子宮の収縮の障害になるので、月経痛があることが多いです。

外向性(子宮の外側にむかって)に発育すれば、漿膜下筋腫と同じ症状、内向性(子宮の内膜側にむかって)に発育すれば、粘膜下筋腫と同じような症状になります。

粘膜下筋腫

子宮の内膜に突出する筋腫です。症状は過多月経、それによる貧血と、不正出血です。

とても症状が出やすく、1cm未満でも手術対象になることがあります。

筋腫分娩

粘膜下筋腫が、子宮内腔から飛び出して、腟内~腟外に腫瘤が見えるものです。大量出血の原因になります。

頸部筋腫

ほとんどの筋腫は子宮体部に発生しますが、約5%の頻度で子宮頸部(子宮の出口)に発生することがあります。その場合、お産のときに経腟分娩が難しく帝王切開になることもあります。

子宮腺筋症
 

子宮腺筋症とは

よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

子宮の筋層内に内膜成分が細かく入りこみ、その部分の子宮筋層が肥厚します。子宮筋腫と一見似てはいますが、子宮筋腫がこぶのようなコロっとしたものに対し、子宮腺筋症は子宮筋層内に入り組んで一体化するので、子宮がぷっくり太った感じに見えます。子宮内膜症の一部に分類されることもあります。

好発年齢は30才代後半~40才代で、経産婦さんに多いです。

発生頻度の報告は2割から3割といわれています。

筋腫や内膜症と同じように、女性ホルモンに依存するため、月経が来るたびごとに悪化する可能性があります。閉経すると縮小し、消えてしまうこともあり、悪さをすることはほぼないため、閉経までのコントロールが重要になります。

 

子宮腺筋症の分類

発生機序として、子宮内膜症の組織が子宮筋層内に直接浸潤したり、分娩や流産・中絶手術・帝王切開などの手術によって内膜が浸潤していったといわれています。

その発生機序により、発生する場所が違うのではないかといわれています。

  • タイプ1:子宮内膜に接する腺筋症。経産婦に多い。

  • タイプ2:ダグラス窩の子宮内膜症の関与が示唆されて腺筋症。20~30歳で好発。

  • タイプ3:筋層内に孤発的に発生

  • タイプ4:子宮全体に及ぶような腺筋症。40歳台の高めの年齢で多くみられる。

 

症状

強い月経痛、性交通、慢性疼痛

年齢とともに増悪します。

 

不正出血、過多月経、貧血

子宮内膜が腺筋症におされて圧排・変形がると、不正出血・過多月経という症状も出現します。出血の量が多いと、貧血になります。

 

腹部腫瘤感

病変が大きくなると、筋腫のように腹部腫瘤感も感じることがあります。

※上記以外に、子宮内膜炎などの感染症、不妊症、流産・早産などの周産期合併症とも関連しているといわれており、腺筋症の方はそれらになりやすいといわれています。

 
子宮筋腫と子宮腺筋症は症状が似ている

子宮筋腫と子宮腺筋症は女性ホルモン依存性疾患、つまり生理がくるたびごとに悪化しやすいという性質上、みためや症状がにているため、検査や治療も共通することが多いです。

 

しかし子宮腺筋症は筋腫のようにコロっと塊になっておらず部分切除が難しい場合が多いため、手術療法の場合は一般的に根治術(子宮全摘術)を選択しなければならないため、早期に発見して手術回避のために早めの治療を開始することが必要です。

 
子宮筋腫・子宮腺筋症の検査

問診

過多月経や月経痛などの痛み、腹部腫瘤の有無、以前に比べて悪化していないか、近々結婚や妊娠の希望がないかなど、聞いていきます。

 

内診・経腟超音波検査

位置や大きさ、タイプ、性状、痛みや癒着の具合を確認し、貧血や病勢・悪性度チェックのために採血検査を行います。

 

悪性の疑いがある場合や手術を考慮したほうがいい場合

正確なオリエンテーションや鑑別が必要な場合は、MRI検査、子宮鏡検査、ソノヒステログラフィー、子宮内膜細胞診、子宮頸部細胞診(組織診)も追加して検査します。

 
子宮筋腫・子宮腺筋症の治療

女性の人生の選択肢を広げるために、早期の受診・早期の正確な診断、早期の適正な薬物療法の開始は必須です。

症状、検査所見、経過、その方のライフプラン・ライフステージにより方針をきめます。

まずは対症療法、コントロールができない場合や悪性が疑われる場合は手術療法になります。

子宮腺筋症の場合、手術は一般的には腺筋症の部分切除が難しいため、根治術の子宮全摘術になります。そのため、閉経前後や閉経以降でないかぎりは、診断の時点で早期にホルモン療法を開始するのがベターです。

閉経後は悪性所見がないかぎりは治療は必要ありません。1年ごとに経過観察をするのが一般的です。

 

対症療法~閉経前~

子宮筋腫の場合

悪性所見がなく、症状が日常生活を害しない場合は3か月~6か月ごとくらいに定期的に来院いただき、経過観察をします。

必要なら対症療法もあわせて行います。

症状として多いのは、月経過多による貧血や月経困難症です。

 

  • 月経過多の治療

漢方薬・止血剤など、それによる貧血の治療としては鉄剤の内服があります。
 

  • 月経困難症の治療

鎮痛剤やホルモン剤などがあります。

 
  • ピルやアンタゴニストの使用

特効薬ではありませんが、これらに有効です。
子宮内避妊リング(ミレーナ)の使用も、場合によっては選択していきます。

子宮腺筋症の場合

適応やライフプランを判断したうえで、早期のホルモン療法を開始します。

ピルやジエノゲストを第一選択として使用し、場合によってはミレーナの挿入やアンタゴニストも考慮します。

手術療法~閉経前~

対症療法でもコントロールできずに、日常生活やライフプランに支障をきたす場合は手術療法になります。

部分切除

子宮筋腫の場合

子宮筋腫だけを摘出する、子宮筋腫核出術があります。

現在では多くは腹腔鏡手術ですが、大きいものや腹腔内癒着がある場合は開腹手術が適応になることも多いです。

粘膜下筋腫の手術方法は流産手術のように、開腹手術ではない経腟的なアプローチで手術します。

子宮鏡下手術で子宮内膜を削ってくるような手術です。

ただし半分くらいの頻度で再発するので、根治手術ではありません。

子宮腺筋症の場合

部分切除の手術はあまり一般的ではありません。

子宮腺筋症は子宮と一体化している感覚なので、子宮腺筋症のみを摘出する手術は、子宮筋層を削るような手術になるため施行できる施設はごくわずかです。術後も慎重なフォローが必要です。

マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)というレーザー治療は最新の方法ですが、こちらもできる施設は限られていますし、根治術ではないので術後も慎重なフォローが必要です。

根治術

子宮筋腫の場合

40歳後半の挙児希望がない女性は、根治手術である、子宮全摘術を施行します。

最近は卵巣癌の原因となる卵管も一緒に摘出することも多いです。

手術方法は開腹手術と腹腔鏡下手術があります。

筋腫・腺筋症の大きさが大きい(10cm以上)、著しい変性があるなど、悪性所見がある場合は、癌や肉腫の治療方針にそった治療をします。

 
子宮筋腫・子宮腺筋症の術後のフォロー

根治術である子宮全摘術以外をおこなった場合、ホルモン依存性腫瘍であるので、やはり閉経がくるまでは大きくなります。

手術後も半分が再発するともいわれているので、半年ごとに定期的に再発がないかチェックします。

特効薬ではありませんが、ピルやジエノゲストを内服したりミレーナを挿入することは女性ホルモンの分泌を低く抑えられるので、多少の予防効果はあります。

閉経までは再発のリスクはありますので、継続フォローしていきます。

 

子宮全摘に関してのよくある心配事

子宮を摘出してもセックスに支障はありません。

欧米の大規模調査で、最初の半年は性交渉の時に痛みや粘液の減少などあるものの、半年後以降は夫婦の営みに関して、子宮摘出していない女性と比較しても差がでなかったという報告があります。

子宮を摘出しても“女性らしさ”は失われることはありません。

“女性らしさ”をつかさどっているのは、卵巣と脳下垂体です。

子宮は女性のシンボルという印象はあるとは思います。

しかし乱暴な言い方かもしれませんが、子宮自体はただの筋肉で、赤ちゃんをはぐくむお部屋としての役割しかもっていません。女性らしさの源であるホルモンを放出するのは、卵巣ですので、子宮を摘出しても卵巣の働きに影響することはありません。よって子宮を摘出しても、女性らしさが失われることはありません。