不妊診療

婦人科

 
当院の方針

不妊治療について、一番大切なことは「ご本人とパートナーの方のお気持ち」だと考えております。

医療者側が提案する治療は正しい提案でしょう。

しかし、妊娠・出産し、今後何十年もお相手と協力しながらお子さんを育てていく人生の主人公は、ほかでもないご夫婦なのです。

当院では、ご本人の意思を第一に尊重して治療を行っていきます。

正しい情報を提供し、良くご相談したうえで、ご本人に意思決定していただきます。

ただし、ご本人の体にとって危険なことや倫理に反することはもちろんお受けできませんので、ご了承ください。

当院の不妊治療

当院では人工授精までの不妊治療を行っております。

簡単な検査やご相談まで、お気軽に相談ください。

 
不妊診療とは

妊活を初めてから1年以上妊娠に至らなければ、不妊症と診断されます。

35歳以上の方は、性交渉をしているのに半年くらい妊娠に至らない場合は、早めに婦人科で妊活の相談をすることをおすすめします。

不妊治療の進め方
 

一般不妊治療(タイミング療法・人工授精)

妊症の原因は半分が女性、半分が男性であるといわれています。

女性の不妊原因には、

  1. 卵管性不妊(卵管が詰まっていたり狭くなっていて精子と卵子がであわない)
    クラミジア感染症や子宮内膜症による卵管の癒着、または異所性妊娠での手術
     

  2. 卵巣性不妊(排卵がうまくいかない)
    PCOSなど
     

  3. 子宮性不妊(着床を阻害する)
    子宮内膜を圧排するような子宮筋腫や子宮内膜ポリープがある。
     

  4. 原因不明の不妊(検査をしても不妊の原因が特定できないもの)
     

  5. 年齢による卵子の質の低下

が挙げられます。

妊活を始めようとしている人はまずこれらの検査からはいっていきます。

しかし妊活=不妊治療は、他の医療とは少しやり方が違います。

治療とは、原因を突き止めてから、それに対して効果的な治療法を選択してから治療をするのが医療のイメージではないでしょうか。

しかし不妊治療に関しては、原因の検索にこだわりすぎるのは、必ずしもいい結果に結びつくとは限りません。時間がたつと卵子も老化しさらに妊娠率は低下するため、何年も原因検索に費やすことは得策ではありません。

まずは一般的な検査の後は、妊娠という結果を目指します。

卵胞を発育させ、排卵を促し、性交渉の機会を持ち、妊娠につながりやすい体を作っていきます。そのなかで原因を見つけていきます。

 

顕微鏡を使用しなければ、精子と卵子自体、また受精のタイミングを見ることはできません。

一般不妊治療(タイミング療法・人工授精)では、排卵のタイミングを予測し、良い状態の精子を子宮の中にいれるというのみの操作で、受精までは見届けてはいません。

つまり体外受精に進んでから、受精障害などの不妊症の原因が判明することも多いのです。

 

体外受精へのステップアップについて

体外受精は身体的・精神的・経済的な負担も大きいですが、35歳以上の人は半年をめどに体外受精にステップアップしていったほうが良い結果につながります。

卵子は年齢があがると老化していき、さらに妊娠率は低くなるからです。

 

当院では体外受精は行っておりません。

タイミング療法、人工授精までの一般不妊治療をしながら、そこまででわかる原因検索をして妊娠の成立を目指します。ご本人の年齢や状態にもよりますが、当院で半年ほど一般不妊治療をしても妊娠に至らない場合は、信頼できる、体外受精の高度生殖医療専門クリニックにご紹介いたします。

 

​治療方法による妊娠率について

よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

​年齢別の妊娠率について(ART)

体外受精にステップアップ後の高度生殖医療(ART)でのデーターです。

生産率(=妊娠し無事に出産できる確率)は、女性の年齢が上がるとARTを施行しても低下していきます。

妊活シートについて

ホルモン値は、その生理周期の時期によって、正常値が変化します。

それぞれが連動して激しく変動します。

 

ホルモン以外の機序も実にわかりづらく感じるかもしれません。

当院では1周期ごとに『妊活シート』をお渡しし、現在の状態や検査の結果などを受診のたびに書き込んで、お渡しします。

帰宅後にゆっくり状況を整理しなおしたり、Webで調べてみたり、何よりもパートナーの方とご本人の状態やお二人の妊活のことを話すことができ、パートナーの方と一緒に妊活ができるからです。

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メルクバイオファーマ資料提供

妊活について(資料)

よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

最初におわたしする資料です。

初診時は、こちらの冊子に沿ってスタッフ問診があります。

妊活について(動画)

​妊活についての分かりやすい動画です。

​>妊活.net

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当院では排卵誘発剤の低用量漸増法としてFSHの自己注射の方法を取り入れています。

 
月経周期によって施行する検査

様々な角度から妊娠に適している状態を分析します。

 

①月経中検査(月経2日目~5日目)

超音波検査 

その周期における発育卵子の候補者で、卵巣内に粒のようにみえる卵子の赤ちゃん(=前胞状卵胞)の数(antral follicle count:AFC)を左右それぞれの卵巣で数えます。

また、着床の邪魔になる子宮内膜ポリープなどの子宮内膜病変の有無も、この時期にみていきます。

遺残卵胞(前周期にはれてのこったままの卵巣)がないかどうかもチェックします。

 

採血検査

この時期に行うホルモン検査を基礎ホルモン値といいます。

以下の5項目を計測し、卵巣機能が正常かどうか判断します。

 

基礎ホルモン値

  • LH(黄体化ホルモン)
    脳から出るホルモンで、月経中にLHがFSHより高値だと、PCOSなどの排卵障害を疑います。
     

  • FSH(卵巣刺激ホルモン)
    脳から出るホルモンで、卵巣に卵子を成熟するように伝えます。月経中に高値であることは、卵巣予備能の低下を表します。40mIU/ml以上になると、閉経の状態といわれています。
     

  • PRL(プロラクチン)
    乳汁分泌ホルモンですが、高いと排卵や着床に影響を及ぼすことがあります。
     

  • E2(エストロゲン)
    卵胞ホルモン(女性ホルモン)で発育卵胞から分泌されます。月経中は40~50pg/ml以下が好ましいです。
    高値になると、卵巣予備能の低下や遺残卵胞の存在を疑う。
     

  • T(テストステロン)
    男性ホルモン。高値だとホルモン異常や排卵障害を疑う。

②月経終了直後~排卵日までにする検査

子宮卵管造影検査(HSG:hysterosalpingography)

【費用:約10,000円(税込)】

卵管性不妊の診断に用います。

腟から子宮の出口を通り細いチューブを入れて、そこから造影剤(レントゲンに反応する液体)を流し込みながら、レントゲン透視写真で卵管の通過性をみ、その様子を撮影します。

まず子宮が造影剤で満たされた後、両方の卵管を通過し、腹腔内に流れ出るようすが、経時的にわかります。しっかりと腹腔内に流れた時点で卵管疎通性があると判断し、検査を終了します。5分もかからないくらいの検査時間ですが、特に腹腔内の癒着がある人は痛みがあります。

 

造影剤を使用し放射線をあてる検査なので、排卵後に行うと受精卵に影響がある可能性が完全には否定できないので、排卵日までに施行することになっています。

 

卵管とは髪の毛のように細い管で、排卵した卵子はそこに入り込み、精子と卵子が出合い、受精する場所になります。その卵管が左右両方とも閉塞していると精子と卵子がであえずに、自然妊娠することが不可能になってしまいます。

 

卵管が両側閉塞していると、自然妊娠は困難になりますので、いくら一般不妊治療をしても時間や費用は無駄になってしまいます。

そこで、妊活を始めるまず最初にこの検査をして、しばらく一般不妊治療を試してみてもいいかどうかの判断材料にするのです。

よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック
 
 

そのほかに、卵管周囲の癒着の可能性、 子宮腔の形態などがわかる大変有用な検査です。

 

ただし子宮頚管にクラミジアなどの感染症がある場合は、子宮頚管の操作によって炎症を波及させてしまい、骨盤腹膜炎になってしまう可能性がありますので、クラミジア頚管炎がないことを、HSG施行前に確認してから検査を行います。

また、HSGで使用する造影剤は、甲状腺機能異常のある一部の方には使用できないことがありますので、甲状腺異常で内科でフォローされている方は、かかりつけの内科主治医にHSG施行することは可能であるかどうか、お伺いをたててから施行するのがいいでしょう。

卵管通水検査

【費用:約5,000円(税込)】

造影剤アレルギー、ヨードアレルギー、甲状腺異常がある方の一部など、子宮卵管造影の造影剤が使えない場合、「通水検査」といって、子宮内にチューブで生理食塩水を入れ、超音波で卵管通過の有無を確認することもあります。

③卵胞期の検査(月経10日目~13日目)

子宮頚管粘液検査

子宮頚管粘液は排卵直前になると精子を招き入れやすくするために、糸をひくようなさらさらしたおりものになります。この性質=牽糸性を利用して、10cmほどののびがあれば、排卵直前と判断できます。

のびがわるければ、排卵の準備ができていないまたは排卵してしまったということが予想できます。

また、排卵直前であるにも関わらず、頸管粘液が少ない、牽糸性は低いなどの場合は、自然妊娠の可能性が低下するので、人工授精が有効です。

クロミフェン(クロミッド、セロフェン)などの排卵誘発剤のは、頸管粘液を減少させます。

超音波検査

卵胞の大きさを計測し、排卵日を予想します。

通常、自然周期だと卵胞の平均径が18㎜以上で排卵します。

排卵誘発薬を使用していると20㎜をこえるまで成長します。

卵胞は14㎜以上になると、1日2㎜ずつ大きくなりますので、逆算して排卵日を予想するのです。

子宮内膜も卵胞発育に伴い徐々に厚くなります。この時期のホルモン状態の整った内膜は超音波検査では木の葉のような構造(reaf paterne)のようにみえます。厚さは8㎜以上だと、受精卵の着床のベットに適した、フカフカの内膜ということになります。

 

採血検査

発育が十分かどうか判断するためにE2を、排卵の直前・直後の判断の材料として、LHやPも測定する場合もあります。

 
 

卵胞期の採血検査

  • LH(黄体化ホルモン)
    黄体化ホルモン。脳から出るホルモンで、E2が上昇すると急激な上昇=LHサージがおこり、排卵にいたります。排卵後は急激に下がります。
     

  • E2(エストロゲン)
    卵胞ホルモン(女性ホルモン)で発育卵胞から分泌されます。卵胞が成熟し200~300pg/ml以上になるとLHサージがおこり、排卵します。
     

  • P(プロゲステロン)
    排卵後の黄体から放出されるホルモン。排卵すると2.0pg/ml以上に上昇する。

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④排卵直前の検査(排卵日直前または排卵日)

超音波検査

卵胞の大きさを計測し、十分な卵胞発育(自然周期だと18㎜以上、誘発周期だと20㎜以上)があるか、8㎜以上の子宮内膜の厚さがあるかどうか、子宮頚管粘液が、子宮頚管に貯留しているかどうかをみます。

 

採血検査

十分な発育かどうか、E2が200~300pg/ml以上になっているか、必要に応じてで構いませんが、計測することもあります。

性交後試験(Huhner test;フーナーテスト(=ヒューナー検査)

【費用:約1,100円(税込)】

性交渉の後に、妻の頸管粘液中に夫の運動精子があるかどうかをみる検査です。

精子にとって、子宮頚管を通過することが一つの関門です。ここでしっかり運動精子が存在していれば、ちゃんと子宮内に到達できている可能性が高いため、2~3周期ほどの間はタイミング療法を試してみてもいいかもというお話になります。

つまり、フーナーテスト(ヒューナー検査ともいいます)は相性テストともいえるのです。

 

ここで精子が少なかったり、動いていないと抗精子不動化抗体陽性(精子に対して女性の体が抗体をもってしまい、侵入する精子を拒絶してしまう体質)などの免疫異常が疑われます。該当する場合には、人工授精等のステップアップが必要です。

 

フーナーテストは頸管粘液の分泌の多い排卵直前に行います。

排卵直前に、性交をしていただき、おおむね10時間以内に頸管粘液中の精子の生存状況を確認します。

 

検査当日の朝の性交渉が理想的ですが、朝の性交渉は困難であることも多いため、前日夜の比較的遅めの時間に性交渉をなさっていただければ問題ありません。

 

⑤黄体中期(排卵後5~7日目)の検査

超音波検査

子宮内膜は受精卵の着床のベッドになります。厚さがフカフカ(8㎜以上)で、妊娠の維持をしやすい状態(エコーでみると白っぽくみえる、high paterneと呼ばれる構造で、しっかり黄体ホルモンが分泌されている状態)かどうかみます。

また卵巣の腫れ(出血性黄体)がないかどうかもチェックします。

 

採血検査

Pが10pg/ml以上だと黄体ホルモンが十分と判定します。足りない場合は内服薬や注射で補充をしたり、そもそもがしっかりと排卵できるように、次周期からは排卵誘発剤を使用するなどします。

E2も100pg/mlほどでバランスよくたもたれているか検査します。

 

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黄体中期の採血検

  • E2(エストロゲン)
    子宮内膜を厚くするように指示します。
     

  • P(プロゲステロン)
    子宮内膜を厚くして、着床に適した状態に整えます。

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その他の検査
 

AMH検査(自費)

​【費用:8,250円(税込)】

卵子について

卵子の数は生まれたときは70万~200万個ありますが、年が経つにつれ減っていきます。

卵子は通常毎月1個、排卵しますが、実は排卵する卵子以外の卵子も、何もしなくても1日30~40個ずつ、1か月でいうと1000個ほど、消えてなくなってしまうのです。

初潮(初めての生理)を迎える思春期のころには、卵子はすでに30万個になっています。
 

[卵子の数の変化]

  • 胎児期:700万個

  • 生まれたとき: 70~200万個

  • 思春期(初経時): 30万個

  • 35歳: 5~6万個

  • 37歳: 2~3万個

  • 42歳: 5000個

  • 45歳: 1000個

  • 50歳(閉経): 0個

 

卵子の質も、女性の年齢が上がると低下していきます。

染色体異常の率が高くなり、妊娠率の低下、流産率の上昇、胎児異常の増加につながります。35歳をこえると、半分程が染色体異常のある卵子だという報告もあります。

AMHについて

採血検査でわかる、卵巣に残されている卵子の数を推測する検査です。

月経周期のどのタイミングで採取するかどうかの時期は問いませんが、ピル内服中や排卵誘発剤を大量に使用した後に採取すると、低くでる傾向にあるので、ピル内服中や採卵直後の検査はやめておいたほうがいいでしょう。

 

年齢によりかなり個人差がある検査で、卵子の数を推測することができます。

AMHは今までたくさん喫煙していたり、過去に卵巣の手術をしていたり、子宮内膜症の既往があったりすると低くなります。

AMHが高すぎる場合、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などの疑いがあり、低すぎる場合には、早発閉経の可能性もあります。

 

注意すべきことは、AMHは数のみ推測することができ、その卵子の質が妊娠できるような良質のものかどうかは反映していません。

同じAMHの数値でも、実年齢が若ければ卵子の質はそれほど低下していないかもしれません。

 

抗精子不動化抗体検査(自費)

【費用:7,150円(税込)】

血液中に、精子に対して攻撃する抗体がないかどうか、採血の検査でチェックします。

抗精子不動化抗体が女性の血中にあると、まずは子宮頚管に侵入してきた精子にたいして攻撃してしまい、侵入を阻止します。この場合はフーナーテストの結果が悪くでてしまいますので、人工授精にステップアップします。人工授精をすることで、ダイレクトに子宮内に精子を注入できるので、抗体の攻撃を避け、卵子との受精のチャンスを高めます。

しかしあまりに抗精子不動化抗体の値が高値だと、人工授精ではなく体外受精にステップアップすることが望ましいです。抗体価が高値の方は、卵胞液中にも抗体がたくさん存在しているからです。

ご自身の体質を見る検査なので、妊活をはじめようと思ったら最初の時期にしておいたほうがいいと思います。フーナーテストの結果が芳しくないときには必ずチェックしておきましょう。

 

精子DNA断片化指数(DFI)検査(自費)

【費用:17,600円(税込)】

DNA断片化指数(DFI)とは、損傷したDNAを持つ精子の割合のことで、どの程度の割合で精子のDNAが損傷しているのかを測定する検査です。

 

一般精液検査は、男性不妊の治療方針を検討する上で重要ですが、精子機能を充分に反映できていない可能性が指摘されています。例えば、通常の精液検査で異常がない方でも、精子がDNAの損傷を受けている割合が高い患者さんでは、受精率や妊娠率が低くなったり、流産率が高くなったりすることが報告されています。

 

そのため、DFI検査によって男性側の隠れた不妊原因を特定できる可能性があります。もしも、検査結果が基準を上回った場合は、生活習慣の改善やサプリメント服用で改善を図ります。

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慢性子宮内膜炎の検査

近年、不妊症の原因の一つに子宮内膜の細菌叢(=子宮内フローラ)や慢性子宮内膜炎が関与している可能性が指摘されています。

当院では一般不妊治療の早い段階で子宮内膜に関する2種類の検査が可能です。

妊活の早い段階でご自身の子宮内・腟内・腸内の環境を整え、内面からの健康を保つことで、スムーズな妊娠につなげたいと思います。

CD138

【費用:6,600円(税込)】

慢性子宮内膜炎とは、細菌やウイルス感染などが原因で、子宮内膜の深い場所で炎症がくすぶっている状態です。そのような状況下で出現するのが、CD138 陽性の形質細胞です。

内膜組織を採取後、CD138細胞の免疫染色を行い、5個/20HPF(400倍で20視野にCD138陽性細胞が5個)以上ならば陽性です。その場合は子宮内膜炎が潜在している可能性があると判断し、抗菌薬の内服を開始します。

抗菌薬終了後、子宮内フローラを善玉菌で整えていくため、サプリメントもおすすめです。

サプリメントの効果が表れて子宮内フローラが整った状態になるのは2-3か月後といわれていますので、サプリメントは継続して摂取することをおすすめします。

 
 

子宮内膜フローラ検査(バリノス)

【費用:39,600円(税込)】

子宮内フローラ検査とは腟や子宮内から採取した検体を用いて菌の種類とその割合を調べる検査です。

〈子宮内フローラとは〉

腸内や皮膚、口腔内など体の中には様々な菌が住み着いています。健康な女性の腟や子宮内にも菌は存在しており、子宮内に住む菌の集まりを子宮内フローラと呼びます。

子宮内フローラ1

菌の中には病原菌から体を守る善玉菌と、病気を引き起こす可能性のある悪玉菌がいます。善玉菌は主に乳酸菌であるラクトバチルス属の菌で、腟内から子宮内にまで存在し、腟内から侵入する雑菌を防いでいます。仮に善玉菌の割合が少ないと、腟内で起こる細菌性膣症や尿路感染症、また雑菌が子宮内に侵入すると不妊の原因となる子宮内膜炎、卵管炎などが起こる可能性があります。このことから善玉菌の割合が少ないと着床率の低下、流産、早産などのリスクが高くなることが分かっています。この様に子宮内フローラは妊娠と密接な関係にあります。

自分の子宮内の菌の状態を知ることで、不妊治療の選択も広がります。

子宮内フローラ2
 
原因不明不妊症

上記のように月経時期に応じて検査を行うことで、不妊の原因を探していきます。

他には甲状腺疾患やクラミジアなどの骨盤内感染症の既往歴があっても、不妊症のリスクがあがります。

こうした検査を行っても不妊原因がわからないことが20~30%の頻度であり、これを原因不明不妊症とよびます。

 

その場合は5-6周期、一般不妊治療をためしてみて、やはり妊娠に至らないという場合は体外受精にステップアップしたほうがいいです。

体外受精にステップアップ後に、原因が判明することも多いです。

 
当院の妊活ドック・ブライダルチェック検査
  • ブライダルSTDチェック:12,100円(税込)

  • ブライダルオールチェック:27,500円(税込)

  • 妊活ドックライト:11,000円(税込)

  • 妊活ドックフル:28,600円(税込)

  • 妊活ドック男性:18,700円(税込)

  • 妊活栄養医学ドック:14,300円(税込)

 
不妊診療で使用する薬
 

排卵誘発剤

内服薬:クロミッド、セキソビット

脳に作用して、卵巣を刺激するホルモン(FSH)の分泌を促すことで、卵胞を発育しやすくします。また妊娠率も5%前後上昇させます。

標準的な使用方法は、月経開始5日目から5日間内服します。

 

デメリットとしては子宮内膜菲薄化のリスクと、卵が複数発育してしまい多胎妊娠するというリスクがあります。子宮内膜がうすくなってしまうとそれも不妊症の原因になってしまいます。クロミッドの使用期間が長くなるにつれて、どんどん薄くなる傾向にあるため、最大で5~6周期以上使用することはおすすめしません。また、この薬を用いて妊娠した場合は、通常の妊娠より流産率が少し高くなります。

注射薬:hMG,FSH

卵巣を直接刺激して、発育を促進し、妊娠率を5~10%上昇させます。

内服薬と違い、子宮内膜の菲薄化はおこりません。

 

体外受精のために1度にたくさんの卵を得るために用いる場合とちがい、一般不妊治療では1つの卵子をしっかりと発育させるために用いますので、使用量や使用方法は全く違います。

 

卵巣を直接刺激するので、内服薬の排卵誘発剤より作用が強いので、効きすぎると一度に複数の排卵が起こる可能性もあがります。多胎妊娠(双子、3つ子など)の確率が20%前後にもあがってしまうのです。

双胎妊娠はハイリスク妊娠です。妊娠中の合併症が多く、流産・早産のリスクが格段に上がってしまうのです。早産になってしまうと、障害が残ってしまう可能性があります。

 

妊娠率を上げることは重要ですが、不妊治療の目的は、安全な妊娠・出産のお手伝いをすることです。

ハイリスク妊娠を増やさぬよう、当院では細心の注意を払って治療にあたります。

 

しかし内服薬よりも強いお薬なので、それによるデメリットもあります。

最も注意すべき副作用は、さらに卵巣が強く刺激されてしまい、多数の卵胞がそだち、卵巣が膨れ上がり腹水も貯留し、脱水状態になり血栓症になるリスクがあがる、卵巣過剰刺激症候群です。

 

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは

排卵誘発剤を使用したとき、卵巣が強い刺激を受けて大きく腫れることをいいます。特にPCOSの方は過剰反応する傾向にあるので注意が必要です。またhCGの注射後も注意が必要です。

卵巣が大きくはれ上がると、お腹に水がたまってふくれ、脱水状態になり入院治療が必要になる場合があります。血液が濃縮されすぎると血栓症に至り、命にかかわる事もあります。

足のむくみ、お腹のはった感じ、下腹部痛、吐き気、嘔吐などの症状が出た場合や、急に体重が増えてきた時は要注意です。

OHSSになりやすい方は、体外受精やIVM(未熟卵体外受精:in vitro maturation)という治療も検討することが必要です。

hCG注射

排卵をうながす注射です。

排卵後の子宮内膜にもはたらきかけ、妊娠の維持をしやすい黄体期内膜に変化させます。

 
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方の不妊治療

多嚢胞性卵巣(PCOS)は、卵子がたくさんありすぎてうまく排卵がおこらない状況です。そのため、排卵誘発剤が必要になることが多いです。内服や注射の排卵誘発剤で卵胞発育を促します。

本来は卵巣はお豆腐のようなふわふわの組織ですが、長年PCOSの状態が続くと、多めに分泌されるアンドロゲンというホルモンの作用で、卵巣表面が硬くなってしまい、物理的により排卵しづらくなります。うまく発育しない場合は、手術(卵巣多孔術という、腹腔鏡下で卵巣にたくさんの穴をあける(ドリリング)手術)や体外受精、IVMが必要になります。

若いうちにPCOSの診断をされた場合は、プレコンセプションケアとして早期にピルの内服を開始することで、卵巣をふわふわな状態に保っておくことができ、やがて来る妊活がスムーズになる可能性があります。

 
タイミング療法

夫婦生活が多ければ多いほど、妊娠のチャンスはあがります。

タイミング療法とは、排卵日に性交渉ができるように、排卵日を予想し、お伝えする方法です。

基礎体温、卵胞の大きさ、経管粘液の量、LHサージなどを組み合わせて総合的に排卵日を予測し、妊娠にベストなタイミングをお伝えしています。

 

一番の要になってくるのが経腟超音波検査です。

発育卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを計測します。

発育不良の場合は、薬の内服をして排卵誘発をしたり、注射をして卵や子宮内膜の発育を助けたりします。

 

基礎体温

基礎体温は卵胞期には低温相と高温相の2相性を示します。

排卵前は低温期です。

排卵後、卵巣からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されると、体温が0.4度以上に上昇し、高温期となります。

基礎体温が上昇するのは必ずしも排卵日のその日というわけではありません。正確な排卵日の特定には、もう少し要素を組み合わせることが必要です。

クリニックで経腟超音波検査をするのが確実ではありますが、ご自宅でセルフタイミングを行うときは、LHサージに反応するLHチェッカー(尿検査)がおすすめです。

 

卵胞の大きさ

卵子は目にみえず、卵巣の中の卵胞という袋に包まれています。

卵胞の中の卵子は成熟すると、卵胞液を産生します。卵子は卵胞液にみたされたプールにプカプカういている状態なのです。排卵が近づくにつれて卵胞液の産生も増し、卵胞が大きくなっていきます。この卵胞の大きさを計測することで、排卵日を予測します。個人差も多少はありますが、卵胞が12㎜くらいになると、1日2㎜ずつ大きくなります。自然周期だと18㎜以上で、排卵誘発周期だと20mm以上で、排卵がおこります。超音波で経時的に卵胞の大きさを計測することで、排卵日が予測できます。いまのところ、この方法が、タイミング療法では一番正確な排卵日予測の方法です。

 

子宮内膜厚

子宮内膜は卵胞が成熟するにつれ徐々に厚くなっていきます。

子宮内膜は受精卵が着床するベットです。妊娠に至るには7~8㎜以上の厚さが必要といわれています。

また排卵前のホルモンのバランスが取れた状態は、経腟超音波でみると木の葉のような構造に見えます(reaf pattern;3層性)。

それに対して排卵後の子宮内膜は一様に白っぽい構造にみえます(high pattern)。

子宮内膜の構造によっても、まだ排卵前なのか、排卵した後なのか、判別できる場合があるのです。

 

経管粘液の量

排卵が近づくと、子宮頚管粘液がさらさらと透明になり、量がふえます。糸をひくような、糸がのびるような、そんな性状になったことを確認して性交渉を持てば、妊娠しやすくなります。経腟超音波検査でも、子宮頚管粘液の増量がわかることがあります。

 

LHサージ

排卵前には排卵をおこすLHというホルモンが下垂体から分泌されます。このホルモンはE2が200~300pg/ml以上になると、排卵直前に一気に上昇しピークに達し、排卵後は再び一機に下降ます。これをLHサージと呼びます。

LHサージが開始してから約36時間後に、排卵が起こります。

LHサージは排卵のスイッチのようなもので、これを検知すると排卵日を予測することができます。尿を検査してLHサージを検出する試薬がありますので、これが陽性になった時に夫婦生活を持たれると妊娠する可能性が高くなります。

ただ、LHサージの検査薬が万能というわけではありません。

LHは排卵以外の時に値が上昇することもあり、その場合には排卵日以外でも検査が陽性になってしまうことがあります。

また、LHサージの時間は6時間以内なので、朝と夕に検査してもLHサージが検出できないこともあります。

 
人工授精

調整した運動良好精子を、子宮内に注入することで妊娠率を上げる方法です。精子にとっては子宮頚管を通過するのが重労働なので、その負荷を取ってあげる方法です。

 

適応は、以下のような方です。

  1. 軽度の男性因子(精子の所見が少し良くない方)

  2. フーナー検査不良(子宮頸管での生存精子が少ない方)

  3. 性交障害(夫婦生活がうまくいかない方)

  4. 原因不明(タイミング法で妊娠に至らない方)

人工授精法(AIH)は、精液を洗浄濃縮して「精子」を「子宮内」に入れる治療です。

排卵した卵子が卵管に取り込まれ、自然に精子と受精して妊娠成立する過程は、自然妊娠(=タイミング指導)と変わりません。より多くの精子を受精の場に送り込むことで妊娠率が向上します。

 

人工授精の流れ

排卵日にご主人の精液を持参して来院してもらい、1時間ほどの調整のあと、細いチューブで子宮の中に調整後の良い状態の精子を注入します。処置後はhCGという排卵の可能性を上げその後の妊娠の維持をしやすくするホルモン剤を注射します。

処置自体は数分でおわり、そのあとは普通に生活していただいて大丈夫です。

 

しかし精子を子宮内に注入したあとは、目でみて経過を追うことはできませんので、精子と卵子が本当に受精したのかどうかは判別できません。

人工授精が成功したかどうかは、タイミング療法と同様に、処置の約2週間後に妊娠反応が陽性にできるかどうかで判別します。

 

人工授精の妊娠率

妊娠率は約10%です。

 

人工授精の費用

人工授精の1回あたりの処置費用は、16,500円(税込)です。

※そのほか排卵を予測するための事前の来院や、事前にお渡しする薬代、当日お渡し・施行する注射代は別途発生します。